緑茶マーケットの創出、そして更なる拡大へ

株式会社 北米伊藤園  社長&CEO 本庄洋介

緑茶マーケットの創出、そして更なる拡大へ


  「アメリカの飲料市場調査」を目的に3人で小さな事務所からスタートしたのが2000年。当時は、甘味料入り紅茶飲料が認知されだした頃。しかし、まだ無糖の緑茶飲料のマーケットが存在しなかった。それから12年が経過。伊藤園の挑戦は、メガ飲料メーカーがこぞって参入する『飲料ビジネス』の一大潮流となった。

 

——現地法人化して丸10周年。アメリカで無糖飲料分野を築いたパイオニア的存在と言えますね。

 

 「日本で缶入りのお茶を出したとき、『お茶を有料でしかも缶入りで売るのか!』散々言われたのですが、それが、次々と大手飲料メーカーが参入し、我々は其の状況を『緑茶戦争』と呼んでいたのですが、ここアメリカでも、コカコーラ、ペプシといったメガメーカーがこのカテゴリーに入って来ました。緑茶製品を持っていた小さなベンチャー的飲料メーカーを買収し、大手メーカーの一ブランドとして、売り出しています。実際我々も買収のターゲットになりそうになりましたし、まだなってます。(笑い)」

 

——ここでも緑茶戦争が始まった感じですね。やはりそれは、現代社会の健康志向を反映しているのでしょうか? 


「私たちは、ずっと緑茶成分が健康に良いというメッセージを流してきました。それが本当に世間に浸透したということだと思います」——この一年は日系企業にとって、円高、震災、タイの洪水と苦戦を強いられた一年だと思いますが、御社にとってはどのような年でしたか? 「アメリカで『TEAS' TEA』の販売を始めたときは、1ドル118円でした。次第に円高が進み、このままでいったら『利益がなくなる』ということでさまざまなコスト削減策をうってきました。今年初頭にタイへ生産を移管。その後、生産量が増え、販売も順調に推移しました。しかし、この10月にタイの洪水で生産がストップ。商品の供給が止まり、大きく販売計画が崩れることもありました。日本とのチームワークですぐ日本産に生産切り替えました。その一方、『コスコ』の自社ブランド『カークランド』で、緑茶とペットボトルの大量受注が決まりました。その生産対応で、現在、米国内2ヶ所でボトリング工場と提携し、我々のクォリティーコントールの基で生産を開始しました」

 

——それは大きなビジネスですね。

 

 「以前から緑茶ティーバックでの販売には力を入れていました。『コスコ』でのペットボトルの納入も開始ということは、さらにグローバルで展開できるという意味を持っています」

 

——昨今、円高を利用してM&Aで米国、中南米に攻勢をかける日系企業もありますが、御社はいかがですか? 

 

「5年前にマイアミにあるサプリメントの会社を買収しました。メインストリームマーケットなど伊藤園の既存のお客様への納入が多いので、販売チャネルが同じということと、健康志向という観点から我々の方向性に見合った会社でした。私たちは、M&Aに関しては、ファミリーとして受け入れ、皆が同じ理念で一緒に伸びていくという大きな思想があります。成長のためのM&Aはこれからも積極的に考えていきたいと思っております」

 

——今日はありがとうございました。

 

 

企業概況ニュース vol.146 - New Year Special : PART2 2012年1月号より